「去年はお肉料理にしたんだっけ?」
「『さっぱりしたものがいい』というから、
別のものにしたのよ」
毎年、父の日が近づくとはじまる、
わたしと母のおもてなし会議。
なにしろ父は食の好みがコロコロ変わるので、
用意するわたしたちも毎年、一苦労。
結局、妙案の出ないまま訪れた週末のデパート。
あてどなく地下の食品売り場を巡る
わたしの目にふと飛び込んできたのが、
マグロとモッツァレラのサラダ。
視線を横に移すと、母もピンときた様子。
そう、父は昔からマグロにだけは目がないのだ。
「お父さんの喜ぶ顔が目に浮かぶね!」
そう言ってわたしたちは笑い合った。
6.16は父の日。
おいしい料理を食べながら、もっと話そう。