秋薫る「きのこ」は、品種ごとに、味や香り、食感など、魅力がいっぱい。
家庭の食卓にもなじみ深い素材ですが、アール・エフ・ワンでは、それぞれの特性に向き合い、魅力を引き出す調理法を選んでいます。
今回は、4つのサラダを手掛けた開発者に、どうやって素材の持ち味をサラダに表現したか、教えてもらいました。
上品な白さと華やかなカサが特徴的な「白舞茸」のサラダは、素材の繊細な味わいをダイレクトに堪能できるひと品です。
開発を担当した早瀬は、素材の持ち味を引き出すために、まるで蒸すように加熱することを選びました。「白い舞茸に色をつけたくないし、シャキシャキとした食感を残したい。そう思った時、余分な水分を使わずに、白舞茸そのものの水分で加熱できるから、蒸してみようと思ったんや」
「下から熱があたるよう、鍋を使って短時間でさっと加熱することに。蒸し器だと全体から加熱されるので、生っぽいシャキシャキ感は生まれません。また、均一に熱が入るよう、一度に鍋に入れる白舞茸の量や、入れ方も工夫している」と言うとおり、心地よい歯ごたえを残した仕上がりは、綿密に計算された加熱方法の賜物です。
「白舞茸は、おとなしい素材。そこに合う味、彩りをと考え、合わせる葉野菜はクセのないオークレタスに。また、ドレッシングにはすだちを使って季節感を演出」しています。
香り豊かな「舞茸」は、甘みと弾力が魅力の帆立と合わせたサラダに使用しています。「帆立ときのこのサラダを…と思った時に、見栄え、旨み、香りのよさから迷わず舞茸を選択した」と話すのは、開発担当の宮本です。
舞茸の特性のひとつに、煮汁に黒っぽい色が出ることがあります。「軸の白さを生かすには、水分が出ない加熱方法がマスト。となると、油で揚げるしかない」と、香ばしく揚げることに。それまで、舞茸をサラダに使うことはあまりなかったとのことで、宮本にとってもチャレンジでした。「揚げると、全方位から一気に加熱できます。少し粉をまぶして唐揚げにすることで、香ばしさを強調。さらに、旨みも逃げません」
店頭に並ぶと、帆立の白と舞茸の茶色のコントラストが映えます。「丸い帆立に対して、エッジのきいた舞茸。ひらひらとした見た目は、盛り付け時のインパクトを狙いました」
「今、サラダに使えるきのこは全部使いたい！そして、たっぷりきのこを楽しんでもらいたい！と思って着手した」と笑顔を見せるのは、開発担当の早瀬。“全部”と話すとおり、椎茸、エリンギ、ぶなしめじなど、香りも食感も異なるさまざまな素材をひと品にしました。
「きのこは難しい素材。食べ慣れていない品種は敬遠されるので、身近に買える普通のきのこで勝負している」というだけあり、調理方法がポイントです。きのこをしっかりと炒めると、香ばしさとともに素材からの水分に旨みが凝縮されます。複数品種から出る旨みが混ざり合い、奥深い味わいに。「キヌアを入れたのは、きのこの水分を吸わせるため。おいしい出汁を、一滴残らず食べてもらいたい」
実はこのサラダ、時代に合わせておいしさに磨きをかけながら、何度も提案している商品です。「初めて作ったのは、30年近く前かな…。当時は、ご飯のおかずとしてのニーズが強かったので、しょうゆ味に。さらに、今までの森のきのこのサラダには使っていなかった、生のマッシュルームをアクセントにしています」
きのこの食感と、揚げごぼうの香ばしさ、バルサミコの旨みが調和した、ご飯のお供にも、おつまみにもぴったりなサラダを開発したのは、おかずになるサラダが得意な宮本です。「ぶなしめじは味、椎茸は香り、エリンギは歯ごたえ、平茸はエリンギとはまた違った食感に、特有の味、香り。それぞれに個性があるからこそ、その魅力を伝えたくて…」
素材一つひとつは、親しみのあるものですが、食べやすさ、噛むごとに異なる風味、飽きずに食べ進められる味わいの秘訣は、「一体感を出すためにある程度形を合わせながらも、品種ごとの個性を生かすために、あえて切り方を少し変えています。平茸は割きます。素材に向き合い、その強みを知ると、切り方、調理法、味付け…自然と答えが見えてきます」
「複数のきのこの出汁が混ざり合い、きのこ同士がお互いの出汁を含んでいきます。さらに、きのこが吸いきらなかった出汁は、合わせた揚げごぼうが吸ってくれます。きのこのおいしさを余さず味わえる組みあわせ。それを、ベーコンが隠し味のソースで和えているので、まさに旨みの塊です」と、宮本は自信たっぷりです。
少し温めると、きのこがいっそう香り立ちます。
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