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- 服部 :
- 僕が食育を考える時、そこにはいつも「食卓」があるんですよ。僕の子どもの頃で言えば、ちゃぶ台ですね。お母さんがいて、お父さんがいて、おじいちゃんがいて。「いただきます」と「ごちそうさま」があって、ニンジンとピーマンを残せば、「なぜ、食べないの?」。「姿勢はきちんと」「お箸をちゃんと持って」……。
寺子屋ができたのって400年前ですけど、その遥か前から、親は子どもに食卓を通して、世間に出ても恥ずかしくないような人間にしつけてくれていたわけですね。
以前、僕の友人が、自分の子どもをフランスや英国のエリート校に小学校から入れた。すると、食堂でのしつけが一番厳しかったそうです。その国の食文化とマナーを身につけることが重要視されており、それができなければエリートとは呼べないという感覚があるからなんですね。国を超えて、食卓が食育の原点なんです。
- 内坂 :
- 食卓で伝えられることって、ほんと、たくさんありますものね。ひとつの料理を共に食べる喜びもありますし。
「同じ釜の飯を食う」と同じような意味の言葉がフランスにもあって、「コパンcopain」(仲間の意)の語源は「ひとつのパンを分け合う」なんですよ。
分け合って食べる、同じものを一緒に食べる、嫌いなメニューもあるかもしれないけど、一緒に食べることで増す喜びは大きいと。
- 服部 :
- 家族が食卓を囲むなんて当たり前じゃないかって言う方もいます。とんでもない、全然当たり前じゃないんです。
調べました、どのくらいの家族が夕食を一緒にしてるか。内閣府が調べたんですね。51%が夕食を毎日家族で食べてますって言うんですね。そして、23%が週に3~4回です。残りは年に1週間くらい一緒に食べるという結果でした。
でも、僕は、毎日家族で食べている家庭って、51%もないんじゃないかって、見ています。
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- 岩田 :
- 高度成長期から日本人のライフスタイルが変わってきて、核家族化が進み、女性が働き出して。家族で食卓を囲もうにも、全員が揃うことも、料理することもむずかしくなりました。誰が食事を作るの? と。
そんな中で、どうか料理は私たちに任せて、まずは皆さんが一緒に食べる時間を確保してくださいと、RF1の総菜にはそんな願いを込めているんですよ。
- 内坂 :
- 働く女性が家のことを何もかもやろうと思うと、遠い道のりになってしまいます。お野菜を買いに行く時間もなかなかとれないし、それをゆがいたり、冷水につけたりと、サラダにする時間もとりにくい。
RF1のような栄養や鮮度まで配慮してみすみずしく作られたサラダが利用できるのはありがたいですね。そもそも野菜のおかずが不足していると感じている人が多いと思うんです。
- 服部 :
- そうですね、今、日本人が一日平均どのくらい野菜を摂っているかというと、295.3gなんですね。以前は270gぐらいだったんですよ、これでも上がってきたんです。
年齢別に分けますとね、20代が一番低くて220g。ビタミン類とか重要な栄養素を今の若い人たち、意外と摂っていない。50~60代が一番多くて320gです。世界で一番野菜を食べている韓国の人たちなんて、550gも摂っているのに。
- 内坂 :
- 1日何gが理想なんですか?
- 服部 :
- 350gです。厚生労働省として打ち出した数値がそうなんです。
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- 岩田 :
- こちらは「風味引き出す焼き野菜のサラダ」です。野菜がしっかり摂れると人気なんですよ。
- 内坂 :
- わー、おいしそう。
- 岩田 :
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食材によって調理法を変えてましてね、野菜ごとの味わいが際立っている。
お客さん自身もね、野菜を摂らなければならないこと、どうしたらバランスよく、たくさん摂れるかって、わかっておられますね。
- 服部 :
- ロック・フィールドさんは「安心・安全」と「健康」というコンセプトをきちっとおさえてお作りになられているのがすばらしいですね。
- 岩田 :
- 「健康」「安心・安全」「美味しさ」「鮮度」「サービス」「環境」、6つの価値観ですね。この企業理念は1991年からです。
- 内坂 :
- フランスで食育が始まったのもほぼ同時期の1990年。やはり女性の社会進出が原因のひとつでした。ロック・フィールドさんの取り組みも早いですね。
- 岩田 :
- アメリカ西海岸にあるレストラン「シェ・パ二ース」のアリス・ウォーターズと親しくしているのですが、彼女が言うには、1980年代、アメリカで生活習慣病の人たちが増えて、肥満も増えた。もっと野菜を食べようということになった、と。
で、サラダを食べるように働きかけるのですが、どうも野菜じゃ物足りない。タンパク質をもっと摂らないと、ということで、たとえば、ローストチキン、ローストポーク、ローストビーフ、ステーキ、グリルサーモンを野菜と組み合わせて、アントレサラダとして提供するようになったわけですね。
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- 岩田 :
- 私たちも、アメリカの事例を参考にしながら、タンパク質が豊富な食材と野菜とを組み合わせて、できるだけ健康的に、食育的に、サラダづくりを進めてきました。
その際大切にしているのが、素材が良ければ、できるだけ余分な味付けをしないようにということ。元の味を活かす。厚化粧にしないんですね。
- 服部 :
- すっぴん、いいですねえ。
- 内坂 :
- フランスの三ツ星のアラン・パッサールさんは野菜料理で有名ですが、彼も「私は野菜に化粧したくありません」とおっしゃってますね。
- 岩田 :
- 薄化粧でおいしいっていうのは、素材が良くないとむずかしいんですよ。野菜が持っている味を引き出すだけに。生産者から本当に新鮮なものを、温度管理をして届けてもらいます。さらにサラダにしてからもずーっと最後まで温度管理してお届けする。そういったことも重要です。
日本の食卓は、イタリアンやフレンチなど海外の食材や料理が取り込まれるにつれ、自分たちの伝統が空洞化していった感もあります。
我々ロック・フィールドは、今、一生懸命日本のサラダを作っています。たとえば、今の食生活にひじきは馴染まない、けれど、栄養的には優れている、ということで、若い人の食卓にも馴染むようにひじきをサラダにしたり。日本の伝統的なおばんざい……きんぴらごぼうや肉じゃがをヒントにサラダを作ったり。これがお客さんにとって懐かしさと新しさがあって、とても評判がいいんですね。
RF1がお客様からこれだけご愛用いただけている一因は、世界の料理や日本のおばんざいを野菜と組み合わせたことにもあると思います。
- 服部 :
- そうですね。僕は生春巻きをね、お昼によくいただいています(笑)。大好きなんですよ。
- 内坂 :
- バランスがいいですよね、お野菜がたくさん使われていて。
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- 岩田 :
- これは「田舎風パリパリサラダ」、浅漬けをイメージして作ったサラダです。20年来の人気商品なんですよ。
- 服部 :
- 日本人は昔、日向ぼっこしながら縁側でね、お漬け物をお三時に食べたものです。お茶と一緒に。ぽりぽりぽりぽり。大きなお鉢にたくさん盛って。日本人の大事な野菜の摂取源だったと思うんです。
- 岩田 :
- この間は、ピクルスの代わりにすぐきでタルタルソースを作りました。我々が日本の伝統の味を提供していくことで、後々どこかで食べた時に、ああ、あれだったと思い出してもらえたらいいなと思っています。
- 内坂 :
- 子どももお母さんもお父さんも、そのサラダの中から「あれ、これ何なんだろう?」「ちょっと酸っぱいけれど、レモンじゃないわね? 何かしら」って、興味を持ったり、味の発見をすることになりますよね。
それによって、きっといろんな味を受け入れられる大人に育っていくと思います。
- 服部 :
- 岩田社長には、「あら、おいしそうね」「みんなで一緒に食べようね」って気持ちにさせるものをという夢がおありですよね。
- 岩田 :
- なんとかそれに近づきたいと思っていますね。こちらは建築家の安藤忠雄さんにデザインしていただいたサラダボウル(写真上)なんですよ。
- 内坂 :
- 素敵ですね。
- 岩田 :
- こちらは液晶テレビなどのプロダクトデザインを手掛けられる喜多俊之さんの盛器(写真下)です。
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- 内坂 :
- 素敵なサラダを買ってきたら、今日はきれいなお皿で出しましょうねとか、お母さまが工夫して盛りつけてあげると、それだけでもう子どもたちワクワクしますよね。特別なおかずなのかなって。
- 岩田 :
- 私たちの商品をお皿に盛りつけたら、ご家庭でレモンやトマトを添えていただくのもいいなと思うんです。
僕、夢があってね。団塊の世代の人たちが20代の頃、デートで食べた帝国ホテルの「フォンテンブロー」やオークラの「ベルエポック」の料理を再現したいと思ってるんです。「懐かしいお料理ね」って思っていただきたい。40年前を思い起こしながら、2人を結びつけたのがこの料理だったと。
料理はそういう力を持っているんですよね。
- 内坂 :
- 記憶と結びついてますね、味というのは。
- 服部 :
- 原点はやはりおふくろの味でしょう。3~12歳ぐらいまでに家庭で食べた料理の塩梅とか。
うちの学校の生徒たちを見ていると、なんといっても子ども時代の体験がベースです。だから、味覚教育は大切です。
- 内坂 :
- 去年、フランスの三ツ星シェフ、アンヌ・ソフィーさんがご自分の食事体験の話をされてましたが、料理人であるお父さんがテーブルにつくと、これを食べてごらん、あれも食べてごらんって、大人が食べるものを小さい時から食べさせられていた。それで知らない間に味覚の引き出しがたくさんできたと。
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- 服部 :
- これからの食育で大事なことはサスティナビリティ。持続可能っていうことですね。
僕は、食育を推し進めるにあたって、3項目を掲げています。ひとつは選食能力、食品の安全性や栄養価を見極めて選ぶ能力。2番目は伝統と慣習、しつけやマナーですね。で、3番目が食料自給率など地球規模で食を考えること。その3つを連ねているのが、サステナブル(Sustainable)です。持続可能なものを作っていく、これからはそういうものでなければいけないと。
ということででき上がったのが、食育基本法なんですね。僕は、その精神はけっして忘れない。
- 内坂 :
- 服部先生のおかげで食育という言葉が広まり、法案にもなりました。
でもまだまだ食育という言葉の裾野が広くて。親子料理教室だったり、生産者を訪ねたり、いろんな方法論がある。そんな中で、私は食卓からの教育を推奨したいと思うんですね。教育っていうよりもまず楽しい雰囲気、食べることは楽しいんだ、っていう気持ちを子どもたちに感じてほしいのです。
今はどこか食べることがぞんざいになっているような気がして仕方がありません。目の前にあるお野菜や食べ物をよく見て、感謝して、食べて、ああこれを食べて体が大きくなるんだ、うれしい、って思えるような、そういう食事の時間を体験できるよう努めていきたいですね。
- 岩田 :
- 僕はね、食事というのは人間の絆だと思っています。ブリッジ、橋です。食事があって、人間との関係がどんどん広がっていく。私自身が自宅で、ワインを飲んだり、チーズを食べたりしながら、会社の商品でお客様をもてなすことがありますが、実に楽しく交流が図れる……
家族の団欒の場に楽しい食事があれば、きっと楽しい会話があるはずです。その部分で私たちもお手伝いできるのではないかと思っています。お二人にもどうかずっと日本の食育応援団でいてください。